胆力

印刷物に関わる人間が絶対持ち合わせなければならない力が
ひとつ、あるとしたら、胆力だ。

どんなに火急の事態になっても落ち着き騒がず慌てず、やり遂げること。かつて先輩が「出なかった本はない」と言い切っていたが、本当にそうだ。もちろん、〆切りが近づいているのに事態が進展してないように感じたら、心は嵐だ。猛吹雪だ。身体中がざわつく。私の場合、お尻のあたりがチリチリしたりする。でも、ここで下手に動いてはいけないのだ。じっと締切日と納品日を見据えて、今やれることを出来るだけ迅速にやるだけだ。それが実は早道だし、その早道を目指して堪えて堪えて進み続ける力。それが、胆力だと思う。

こういった能力は、2〜3回修羅場を乗り越えれば身に付くものなので、それなりに印刷物に関わったことがある人なら絶対持っている能力といえる。

が、しかし。
弊社には印刷物に関わって丸2年、今年度で3年目に突入する輩で胆力ナシがいたことが、本日判明いたしました。

片面ペラ1枚(4C/0C)のチラシを32,000部刷ってもらうのに、4/21完全データ入稿で4/23色校出し、5/7都内納品というスケジュールを印刷屋さんに出してもらって粛々と作業を進めていたら…、ちょっとオクサン、一体どんなチャチャが入ったと思います!!? 本日4/21夕方(因みに17:30)までに入稿できないなら印刷所に申し訳ないから納品日を5/8午前に延ばせといいやがったよ、印刷業務担当の部の人間がよっ!! はっきりいって「てめー出直してこい!」と吐き捨てなかった自分を褒めたいね。もう何もかも面倒臭いから、各所に迷惑かけて5/8午前デッドに納品を延長してその場は適当におさめましたけどね。

でもね、印刷屋さんからは予想通り「んー、(印刷業務の部のヤツから納期延長の)連絡はいただきましたが別にこれまで通り5/7納品で作業は進めます」と一言サラッと返答いただきましたよ。当たり前だよね、こんな馬鹿な話があるかってーのね。現場への指示をイチからやり直さなきゃならないし、どうせ印刷台はもう押さえてあるし、って思って当然だよね>印刷屋さん。つか、そもそも「4/21入稿」とスケジュールを出した時点で、イコール「その日夜じゅう入稿」と考えて予め仕込んどくのが出来る印刷屋ってもんですよね。すんません、プロを馬鹿にした仕業をうちの輩が仕出かしまして。

ここでうちの業務担当は、本来、私や印刷屋さんを信じて待たなければならなかったんです。じっと堪えて、待つのがヤツの仕事だったんです。でも、ヤツは私だけでなく印刷屋さんのことまで「この人たちはプロだから、やれる」と信じてやれなかったんです。プロをなめんな、ですよね。

そのアカンタレな印刷業務担当の人間は超生真面目な人間です。悪意は一切ありません。逆に印刷屋さんに配慮をしようとして、結果的に私の手を煩わし、チラシを配送手配する担当の人間の手も煩わし、あまつさえ、配慮しようとした肝心の印刷屋さんにまで面倒をかけた、ということです。

無知って怖いね。