『クローン・ウォーズ』

夏休みをたった3日、たった3日とるために私は今すごい攻防を繰り広げてます。あっちに頭下げ、こっちに頭下げ…。でも「いいですよ」って言ってくれるのはお互い様だからでしょうか。「僕なんて都合を聞かれることなくどんどん打合せを入れられて(渋顔)」とぼやいてたセンパイ、すんません!

とりあえず、“やりっぱなし”感が満載のままで夏休みに入った人への苦味みたいなものを今感じているので(ちょっと違うかもしれないけど、こういう感覚を“口跡の悪さ”みたいに言うのかしら)、きちんとして夏休みに入ることを心がけようっと。ホウ・レン・ソウ!

ところで「スター・ウォーズ」シリーズ最新作『クローン・ウォーズ』の試写を観てきました。ルーカスさん、俳優動かすより自分でキャラクターをつくっちゃったほうが早いと気付いたようで、本作はフル3Dアニメです。

で。ジャパニーズ・アニメーションは今後廃れる予感です…。

今、駿監督がセル画によるゲイジュツの最後の砦を懸命に守ってますが、駿監督引退後はジャパニーズ・アニメーションのアドバンテージはゼロになるんじゃないでしょうか。これまでハリウッドがつくってきたフル3Dアニメ映画は「アレはアニメじゃない」と私は思ってました。そして日本人がつくったフル3Dアニメはひどすぎて見られたもんじゃないというのが私の感想です(あくまで“フル”の場合ですよ、“フル”)。私は個人的に、ジャパニーズ・アニメーションの根幹はやっぱりセル画だと思ってます。日本のセル画アニメは、アメリカ人にもフランス人にもロシア人にもない独特の日本的な表現ができていて、それがいわゆる“ジャパニメーション”って呼ばれる表現だったと思うんです。日本人にしかつくれない世界だったんですよ、あの表現は。でも、映画『クローン・ウォーズ』でルーカスは3Dとジャパニーズ・アニメーションの融合体を遂に作っちゃったな、という感じがします。ルーカスは、日本人のアニメの感覚を理解してたうえに咀嚼できたんだな、と。伊達に日本贔屓じゃないですよ、あのオッサン。この『クローン・ウォーズ』は映画だけじゃなくTVシリーズもあるんですが、そのTVシリーズもちろんいつか輸入されることは確定的。映画『クローン・ウォーズ』の成功如何によっては、その日はかなり近い。そしたら、どうするんだろうか、日本アニメ界。ルーカスが編み出した表現は技術的には最高レベルでもアニメとしてはまだこなれきってません。でもいつか、いつかですよ、ルーカスさんとその仲間たちがアニメ表現にこなれたとき(多分10年以内?)、日本の映画黄金期が終わったように“ジャパニメーション”の黄金期も終わりを告げちゃったりして…。

幼児向けアニメ業界の今夏は『ポニョ』vs ポケモンという様相ですが、ポケモンは興行にこそ意味がある単なるビジネスです。後々『ポニョ』と並んで語られることになるアニメ史に残るアニメは映画『クローン・ウォーズ』に違いないと確信して帰ってきたのでありました。うーん、凄かった(相変わらず物語は平坦だけど)。