青白い炎

捨て身で手に入れた部長面談の機会。
彼は真っ当なことを言った。

「おまえは正しい。気持ちも分かる。俺もそう思う。しかし正しい人間が冷遇されることがままあるのが社会だ。俺はたくさん、正しくて有能な人間が冷遇されているのを見てきた」

「正しいことを言うときは、相手が聞き入れやすい言葉で話す術を身に付けろ。正しいからこそ、聞くのが痛くて耳をふさぐやつは多い」

「日本のサラリーマン社会は、江戸城の松の廊下だ」

そういえば、父も言っていた。彼も言っていた。つまり私に親身になってくれる男性だけが教えてくれる処世術だ。男性社会の掟といったところ? 身に付ければ武器になるし楽になる。