ぼんやり幸せ(『夜は短し歩けよ乙女』)

■4月3日(金)
 エスニック魂に火がついた結果、ちょっとお腹の調子がおかしくなった。お昼は大人しくいつもの中華弁当500円で過ごす。しかし、外の桜に影響されたのか、単に年度始めの節目だからなのか、他部署の人々が珍しく揃って連れ立って外へお昼を食べにいく姿を見て、何となく自分も気分だけ高揚する。帰り道も行きかう人々がみんなウキウキした雰囲気。世間が幸せな雰囲気だと、自分も幸せな気分になる。お手軽?そんなもんさ、人間は。
 というわけで、夕飯は自炊をやめてお気に入りのお惣菜屋「ぐらんま」でオカズを購入したうえ、帰りのコンビニで珍しく御酒を購入。それもセレクトしたのは「ほろよい(うめ)」。すっかりCMの堀北真希気取りですよ。外ではお店のヒトに顔覚えられるぐらい飲むワタクシですが、家では数年に1回しか飲まないという徹底した外飲み派。滅多にしないことをしているという高揚感も手伝って、とっても良い気分になりました。そして、そのちょい酔っ払った気分のまま『夜は短し歩けよ乙女』(森見登美彦)を読む。それまで、いまいち入り込めなかった世界観に突然どっぷりつかっちゃって、さくさくと読み進む。もやもやと「何だか角川文庫の青春小説と漫画雑誌のガロを足して2で割った感じの作風だな〜」と思ってたら、本当に角川書店から出てた。森見さんを育てた編集者は角川のカガミだね。
 ちょっと御酒飲んで、それなりに美味しい家庭料理をつまんで、ゴロゴロしながら小説を読んで、明日は朝寝坊できるという夜。ぼんやりと幸せ。

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

■4月4日(土)
 ほんのり幸せ気分はまだまだ続く。先週に引き続き宝塚歌劇団星組公演「マイ・ディア・ニュー・オリンズ/ア・ビヤント」を観劇に行く。今日は、たまたま会社の観劇仲間と一緒。別々にチケット手配をしていたら、同日同公演のチケットが取れてしまった、という偶然。“好き”が重なると行動も似るというものです。席はバラバラながら、幕間や終演後に集まってキャイキャイ感想を言い合うのはとっても楽しい。乙女気分で、はっきりと幸せ。今回はトップの安蘭けいさんと遠野あすかちゃんの退団公演。かなりのサヨナラ仕様に、劇場中がすすり泣く中、私は若手2人を追うのに忙しく涙ぐみはするものの落涙せず。若手2人とは、紅ゆずると真風涼帆。あんたら何者じゃ、というぐらい目が惹きつけられる。すらっとした男装の麗人風なその姿形に、美しいことは正しいことだ、と妙な確信を抱く。後は若さに任せてがんがん攻めていって欲しいぜ。ところで、この公演のレビュー「ア・ビヤント」の華やかさは近年では稀な域ですね。何もかもが豪華で、すべてが夢だった。特にカンカン風な演出のラインダンスは「可愛すぎるぜ、こんちくしょー!」ってなぐらい、乙女であった。ショッキングピンクのかつらに白いドレス、スカートを捲るとショッキングピンクのレース付き。実際その夜、同じ衣装を着て歌劇団生徒たちにまざって一緒に踊っている自分の夢を見た。御伽噺だ。お昼は幕間に劇場でおにぎり弁当600円を購入して、観劇仲間と食べる。歌劇団提供のお弁当類は味付けが古風で美味しい。因みに宝塚歌劇では、劇場内の自分の席につきながらお弁当を食べられる。歌舞伎や大相撲と一緒なのだ。これがまた宝塚歌劇団の非日常性を高める要因のひとつかもしれない。
 さて観劇後は、愛用のお化粧品を買いに外苑前の皮膚科クリニックへ行く。そしたら、ふと。道の奥が何やらさわさわと華やいでいるように感じる。気になってじっと見ていたら、道の奥から凄い笑顔の人々が次々とやってくるではないか。何となくつられて道の奥までいってみると、そこは青山霊園で、延々と続く桜並木であった。あまりの美しさに圧倒され、しばらく桜の間をふらふらしていたら、お墓の間に陣取って長閑に宴をしている方々を2〜3組発見する。不謹慎なような気もしたが、小径を通る坊さんも注意しないし、これが日本の春なのかもと、ぼんやりと幸せな気分になる。そのまま霊園向いのカフェ「ショコラ・シック」で一服。ラズベリーシトラスの氷を発泡水で溶かしながら飲む「サンテ!」を頼む。夏季限定メニューとのこと。シャリシャリいわせながら氷を崩す感じが非常に小粋で、鳩山郁子の漫画を思い出す。このまま幸せを味わっていたかったが、夕方になり肌寒くなってきたので退散。
 そこから渋谷に出て、映画「DRAGONBALL EVOLUTION」を観ることにする。仕事で義務として観たのだが……。うーん。とりあえず、気を取り直して、せっかく渋谷に出たのだからとZARAに寄り、流行りものの黒ロングジャケットと小花柄ミニワンピを安くゲットして帰る。長く着ない流行りものは、ZARAが一番ですね。今年いっぱいで着倒す覚悟です。
 地元・高円寺にやっと戻り、夜は近所の定食屋「成都」で野菜春雨定食700円を食す。水餃子が偉い安く3個100円だというので、追加。具はホタテを選ぶ。このボリューム、この満足感で合計800円とは……。さすが「成都」である。そして、ようやく帰宅。朝からたっぷり遊んで、まだ明日がお休みという幸せ。

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■4月5日(日)
 昨日たっぷり遊びすぎて、疲労。1日ひたすらゴロゴロする。お昼は納豆とご飯、夕飯は冷凍しておいた回鍋肉とワカメご飯。素食というか、粗食。でも満足。こんな引きこもりの1日がないと必ず後でどっと倒れるのでワタクシにとっては必要経費的位置づけの1日。英気を養いつつ、ぬくぬくとお布団と戯れるうちに日も暮れて、後は明日からの1週間に備えるだけという幸せ。
 嗚呼なんて幸せな3日だったんだろう。春って良い季節だなあ。