料理の一手間

何事も一手間かけると結果が違ってくるものですが、
料理ほどダイレクトに結果が分かるものはないと思う。

たまに暇なときにカツオと昆布でダシをとって味噌汁を作ると
感動的に味が違う。化学調味料のダシは
脳みそのなかで「うーまーいーぞー!!」と味王さまが
爆発する感じですが、天然のダシにはその無理矢理感がない。
そのうえで美味しいから感動するのでしょうな。
まあ天然といってもガスレンジが一口の我が家では
電子レンジでダシを取るのだが、電子レンジレベルであれだけ
美味しいのだから熟達者のダシはさらに美味しいに違いない。
たとえば辰巳芳子のダシとか激旨なんだろーなー(ウットリ)。

そして、先日。また新たな一手間による感動に出会った。
それはワカメだった。
乾燥ワカメではなく、生のワカメを味噌汁に使った時に
その感度はこみあげた…!

何故我が家に生ワカメがあるかというと、
この前マミーが上京した際に
何故か生ワカメをビニール袋に入れて持ってきたのだ。
基本的に毎日料理するとも限らない私としては生モノは
拒否するのだが、マミーが言うには「1年は持つ」という。
「嘘っぽい」と思いつつ、つい受け取ってしまったのでした。
ねえちょっとみんな、生ワカメって本当にそんなに持つの??
とはいえ、完全な塩漬けではなく、
1度洗ってあるためできるだけ早く食べねばならぬ、と
百戦錬磨の訪問販売員みたいなことを言い置いて
マミーは帰っていったのでした。
じゃあ早速使ってみるかと使ってみたら…。

まず、水に漬けているだけで磯の香りが立ち昇り、
味噌汁の具として食べてみれば、その肉厚な触感、
綺麗な緑色、ほのかに残る磯っぽさ…(最後のは錯覚?)。
「そうだよ、ワカメってこういうものだった!」と
感動したのでした。ちょっと火加減を間違うと、
すぐに茶色く柔らかくなってしまう乾燥ワカメとは大違い。
水で一旦戻さずにそのまま味噌汁に入れれば、
磯の香りが直接味噌汁から立ち昇り、天然の塩気がまた旨い。
味噌の量を調節すれば塩っ辛くなることもない。
旨い…、旨いよ、マミー。

一手間といっても、ビニール袋からちょっと引っ張りだして
適当な長さで台所ハサミでチョキチョキすればいいだけ。
マミーからもらった生ワカメを消費し切ったら、
今度は自分で塩漬けを買ってきて、
水で洗って保存食として冷蔵庫に常備しよう、と
固く決意したのでした。